梅雨の合間の坂道巡り(3)

さて、第三弾は虎ノ門から麻布台あたりです。

(写真のキャプションは標識に記してある説明文を借用しています)

 

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れいなんざか 江戸時代のはじめ高輪の東禅寺が嶺南庵としてここにあり、開山嶺南和尚の名をとったが、いつか嶺が霊となった。

右側の白い壁はアメリカ大使館のものである。というわけで、この周辺は警備が厳しい。道路の反対側にいた警官に「あの標識の写真が撮りたい」と言うと、向こう側の婦人警官に合図して、警護柵を開けてくれた。「ときどきいるんですよね~そういう人…」とぼやかれてしまった。

 

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アメリカ大使館のオリンピック掲示を木立越しに見る

 

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しおみざか 江戸時代中期以前には、海が眺望できた坂である。南側に松平大和守(幕末には川越藩)邸があって、大和坂ともいった。

オリンピック中であるためか、警察官の姿が多い。もたもたしているとすぐに「どうかしましたか?」と声を掛けられ、「標識の写真を集めてるんです~」というと、破顔一笑、「お気をつけて!」などとねぎらってくれる。炎天下の警備、本当にご苦労様です。

 

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えどみざか 江戸の中心部に市街が開けて以来、その大半を眺望することができたために名づけられた坂である。

今ではビルに埋もれてなにも見えないが、地図上ではたしかに江戸城の方角を向いている。

 

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さくらざか 明治中期に新しく作られた道筋で、坂下に戦災まで大きな桜の木があったことからこの名が付いた。

今は道の両側に桜が植えられ、春の散歩は気持ちがいい。

 

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おくみざか 幕府御先手組(おさきてぐみ・戦時の先頭部隊で、常時は放火盗賊を取締まる)の屋敷が南側にあったので坂名となった。

 

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がんぎざか 階段になった坂を一般に雁木坂というが、敷石が直角に組まれていたことから等ともいい、当て字で岩岐坂とも書く。

この付近「麻布台」は再開発の真っただ中である。高い囲いが延々と続き、時々それが開いて工事車両が出入りする。かつてあったいくつかの坂道もその囲いの中に飲み込まれているようだ。そのせいかどうか、残されたこの小さな階段が意外と人通りが多い。

 

再開発地区の中に「我善坊谷」という古い地名がある。徳川二代将軍秀忠の正室(江)がそこで荼毘に付され、御堂「龕前堂(がぜんどう)」が置かれたことがその由来であるという。最先端の街に生まれ変わる工事の槌音の中に、江の魂が立ち上る煙が見えたような気がする。

 

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ながいざか 江戸時代から明治初期にかけて、この付近の地を芝永井町といったことからこの名が付いた。

神谷町駅方面から東京タワーを臨む坂道。東京タワー通りといったほうがいいかもしれない。左側に教会が二軒並んでいる。

 

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まみあなざか  まみとは雌ダヌキ・ムササビまたはアナグマの類で,むかし その穴(まぶ)が坂下にあったという。採鉱の穴であったという説もある。

かつて、狸穴と言えばソ連大使館の代名詞だった。(今でも左側の白い壁の向こうはロシア大使館だ)子供の頃、ソビエト連邦のイメージが得体のしれない超大国として私の脳裏に醸成されたのには、この「狸穴」の響きの影響が否定できない。(笑)

 

 

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ねずみざか 細長く狭い道を、江戸でねずみ坂と呼ぶふうがあったといわれる。一名鼬(いたち)坂で、上は植木坂につながる。

たしかに、細く狭い道だが、そんなのいっぱいあったんじゃないの?とツッコミを入れたくなる。たぶん、狐や狸同様、鼠も走り回っていたのだろう…。

 

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うえきざか この付近に植木屋があり、菊人形を始めたという。外苑東通りからおりるところという説もある。

この説明の後半はなんだか怪しい。外苑東通りって前の東京オリンピックの頃の話じゃないだろうか。それにそこからおりるところをなぜ植木坂というのかもよくわからない。

 

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愛宕神社の出世階段

標識のある坂道ではないが、おまけ。転がり落ちそうな急こう配である。石段のすり減り具合が出世を願って通った人々の熱意(怨念)を表しているのか。。
 

 

港区の坂道探訪はまだまだ続くよ~