樋口一葉が塩山と関係があるとは知らなかったが、両親の郷里なのだそうだ。一葉自身は一度も訪れたことはなかったらしいが、作品の中には郷里の風景として出てくるという。
塩山駅前には信玄像。その後ろに見えているのが甘草屋敷だ。
甘草屋敷
江戸時代後期に建築された民家(旧高野家住宅)で、優雅な佇まいが目を引く甲州民家として国の重要文化財に指定されている。江戸幕府の命を受けて漢方薬の原料「甘草」を栽培したことが名前の由来。毎年2月~4月にかけて開催される「ひな飾りと桃の花まつり」のメイン会場に使われており、つるし飾りや雛段が華やかに飾られる。
母屋に遮られない日差しを利用できるよう屋根を切ってあるのが面白かったので写真を撮ってきた。柿などをつるして干すそうだ。
法正寺
浄土宗本願寺派の寺院で、500年以上の歴史がある古刹。樋口一葉の小説『ゆく雲』には付近の地名が多く登場する。『雪の日』では「法正寺と呼ぶ寺の離室を仮ずみなりけり」という一文で触れられている。
臨済宗妙心寺派の寺院。文亀2年(1502)創建。地面に枝がつくほどに垂れ、半円の形から「ボンボリ桜」と名付けられた樹齢約130年の枝垂れ桜が有名。
残念なことにもう葉桜になっていたが、昨日がお釈迦様の誕生日だったからとご住職が甘茶をふるまってくださった。20年前なら今日あたりが一番の見頃だったでしょうなぁ…と。
慈雲寺
臨済宗妙心寺派の寺院。暦応年間(1338~1342)の創建と伝わる。江戸時代末期には寺子屋が開かれ、樋口一葉の父・則義が通った。
残念ながらこちらも花は終わり。観光バス用の駐車場が用意されているほど有名な桜のようだ。
白っぽい花をつけているのは、丁寧に覆いをされているので、名産品のサクランボの木だろう。
実業家として成功し、甲武鉄道など多くの鉄道開業にかかわり「天下の雨敬」と呼ばれた雨宮敬次郎は、還暦を迎えた明治40年(1907)に私財を投じて生まれ故郷の重川に木造の橋「雨敬橋」を架けた。現在はコンクリート製の橋が山梨県によって架け替えられている。
幼いころ甲府に住んでいたことがあるが、お向かいさんが「雨宮さん」だった。
もしかして、「天下の雨敬」のご親戚だったかしら…
3月の終わりからバタバタとして、せっかくの桜の時期を逃してしまったが、お天気も良く、さわやかなよいハイキングだった。
10.4Km